早く老人になりたい

2013年07月16日

第30回「名前のないタンメンを探して ―暗中模索の田町編―」

この7月から諸々の事情で職場が変わることになった。慣れない環境の中、これまでとは毛色の異なった仕事をすることになり、そういう変化に特に弱いメンタルを持つ私は早速へこたれてしまった。

しかし否応なしに人生は続く。

新しい職場は田町にある。山手線だと品川とか浜松町駅などの近く。自分にとってはこれまでほとんど縁のない土地だ。

困るのは昼食。一応、最初のうちはランチに誘われるかもしれないし…と、なんでもござれのフリー状態で待ち構えていたが、当然みんなそれぞれ忙しい。となるとひとりでよく知らぬ町を食べ物を求めてさまようしかない。

JR田町駅は都営地下鉄の三田駅と非常に近く、三田界隈には飲食店がひしめいているのだが、田町の、特に海側のほうは特になにもないらしい。しかし特になにもない方こそ面白いんじゃないか、そう思ってとぼとぼ歩いているといかにも大衆中華といった風情の一軒が目に入った。

大元




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ホッとする外観



いい雰囲気だ。入店。サラリーマンたちが汗を流しながらハフハフと色々食べている。私はタンメンを注文した。新しい職場に慣れることができず、それほど食欲はないが、かといってラーメンだけでは元気が出なそうだなーということでのタンメン。一応野菜も摂取できるし、優しい塩味も今の自分にとってちょうど良い気がする。

タンメンを待つ間、隣の営業マンっぽい男性の頼んだ一品をチラ見させていただく。「肉焼き」と呼ばれるそのメニューは、かた焼きそばにあんかけにくるまれた豚肉がどかんと盛られるもののようだった。ちなみに「大元」は食べログにもレビューの載る店だが、その「かた焼き」に関するコメントは見当たらない。きっと、食べログへの投稿など微塵も興味のない豪快な男こそが好むメニューなのだろう。

昼時、ひっきりなしに客が出入りする店内では、4〜5人の老人店員が店を切り盛り。厨房の老人がホールの老人を「チャーハンはそっちじゃねえだろ!」などと怒鳴りまくっているが怒鳴られた老人もまったく無反応。新しい職場でミスを繰り返して注意されている私だが、へー無反応でいいんだなーと、元気が出た。

さて、その怒鳴られ老人が、「ライスに合うよ」と言って、タッパーに入った辛味噌を薦めてくる。「ああ…はあ」とよく分からずモゴモゴ返答していたら、タンメンとともに頼んでない半ライスが運ばれてきた。麺類を頼むとライスがサービスでつくらしい。ライスもつけるほど食欲はないが、味噌をつけて食べてみると、これがうまい!やたら!

で、肝心のタンメンだが。




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710円



うまい!いたって普通だけども!こういうものが食べたかった。シャキシャキ野菜と、化学調味料的なうまみスープ。素朴なもちもち麺。最高である。

店を出た私は、この町でタンメンを食べ歩いてみよう、とふと思い立った。




田町をぶらぶら

また別のある日。私は、会社の人に薦められた、食べログでも評判のつけ麺屋にひとり足を運んだ。濃厚な煮干し風味のダシに太い麺の風味がよく合ってとてもうまい!のだが、私はやはり、隣にあるこちらの店




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光希



に惹かれてしまった。なので翌日行った。

こちらは、先の「大元」とは打って変わって繊細な気遣いの行き届いた店だ。まずこれ、壁にティッシュが等間隔に!




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実にちょうどいい高さにある



あと、テーブルにあら挽きの黒こしょうと白こしょうが両方用意されていたり、お店のお母さんが各テーブルに絶妙に多すぎず少なすぎずの水が入ったボトルを置いてくれたりと、隅々まで行き届いたサービスなのである。

厨房で料理しているのは短く刈り込んだ白髪の似合う男前の大将。メニューに目をやると、ウーロンハイ350円レモンサワー350円ビールに中瓶500円と缶350円という2種類があるのもニクい!メンマ・おしんこ・もやしサラダ”の「おつまみセット」が250円など、酒とつまみメニューも充実している。

運ばれてきたタンメンがこれ。




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700円



丁寧に切り刻まれた野菜よ。そしてこのちょうどいい量。「あまり食べるとほら、午後、眠くなりますでしょう?」とでも言いたげな絶妙なボリュームである。キャベツももやしもきくらげも豚肉も、それぞれがまんべんなく、主張しすぎることなく互いに譲り合って存在している。スープは、ちゃんぽんのスープのようでまろやか。

モグモグ食べながら見る壁が、




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ゲームオーバー寸前のテトリスのようだ。

私が席を立ち、ごちそうさまーと告げると、店のお母さんはさっとレジからおつり分の小銭を手に取り、私がそこまでいくのを待っているのだった。気配りの店!

店の表に一押しメニューとして掲げられていた




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も気になるところである。しかし「光希」、なんていい名だろう。




ランチにゲスト登場

また別のある日。相変わらず、誰ともうまくしゃべれぬ日々が続いていたところへ、近所で働いているという「nakayoshi group」の森川さんが「メシいきませんか」と声をかけてくれた。前日にメールのやり取りをしていて、森川さんが「ここ行きません?」と貼ってくれたURLが、まさにいま自分の求めているようなラーメン屋だったので驚いた。もちろん行きます!

うだるような暑さ中、田町駅から歩いたら10分〜15分ぐらいかかるかもしれない場所に、店はあった。




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右下がグラサン姿の森川さん



秀味

森川さんによれば、港湾で働く腕っ節の強い男たちの胃袋を満たしてきた店だとのこと。余談だが、芝浦ゴールドがあった場所もこの近くだという。




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入り口がこれだもん。期待できます



店内に入ると、厨房をぐるりと取り囲むコの字カウンター。入り口付近のボックスには冷たいおしぼりが用意され、うだるような暑さの中をやってきた我々を癒してくれた。

マンガ&雑誌コーナーには「ゴルゴ13」のコンビニ本バージョンと週刊誌数冊。カウンター下に少年ジャンプが置かれていた。

ちょうど我々の対角線上の席に片手で「ゴルゴ」を読みながらラーメンをすするサラリーマンがおり、その2つとなりの席にはタレサンをかけた角刈りの、タクシー運転手らしき初老の男性が苦みばしった顔で厨房を眺めていた。まったくの他人だろうが、「二人合わせて、ゴルゴサーティーン!」とでも叫び出しそうな二人であった。

隣ではすでにチャーハンが運ばれてきた森川さんが「うまいっすよ!」とパクついている。




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はい、チーズ



うまそうだなーと思っていたら、タンメンきた!




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680円



湯気でぼやけているが、これまでの2店と比べ、だいぶボリュームがあるのが分かるだろう。味は…うまい!最高にだ!野菜のジャキジャキ感も申し分ないし、自家製だという麺の香り、これがまたいい。強い火力でジャッカジャカ鍋を振ってできた一杯という感じ。力強いうまさだ。声に出したり、あるいは心の中でも「うめー!」連発。

ふと見上げたところに、立川談志師匠の書が。




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絶賛の餃子をぜひ食べてみたいものだ。絶対来よう。




再びゲストとともに

またある日。私は焦っていた。今日中にタンメンを食べないと、ピコカルの原稿が間に合わない。なんの根拠もないのだが、4店食べて1回分、という気持ちがあって、とにかく今日は何がなんでもタンメンだ。

先日の「秀味」の時に、森川さんが「どこどこの中華もうまいですよー」みたいなことを教えてくれたのだが、店名を失念。そこで、「なんて店でしたっけ?」とメールしたところ、「よかったら一緒に行きましょう!」とまたも男の二人メシが実現することになった。

「あそこですよ!綿徳!」




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右下のチャリの男性が森川さん



「…もう終わってましたぁー」 この日はランチに出遅れ、すでに14時をまわっていた。この「綿徳」、昼の部は14時までなのだという。残念。また来よう。

すぐ近くには「生駒軒」もあり、




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こちらもぜひ訪れてみたいと思った。

とりあえず、三田駅近くの繁華な商店街まで一旦引き返すことに。よし、今日はここ行こう!




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杏花園



店構え的には、これまで訪問した店よりも「ちゃんとした中華」感が高めに見える。店内に入ると、ワイドショーを放映するテレビが飛び込んできて安心した。安藤美姫のことを取り上げている。




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ミキティー、やりたいようにやれ。俺も負けないでがんばるからよう



とはいえ、テレビを除いては、照明を暗めにした落ち着いた店内の雰囲気といい、大きな丸い鏡があったりする内装といい、いかにもちゃんとした店。

カウンター数席とテーブル2席ほどの一見小さな店内だが、2階もあるらしく、夜は宴会利用で賑わいそうな雰囲気だ。戸棚には紹興酒のボトルが置かれており、なるほど、大衆中華と本格中華の線引きの基準として「紹興酒の有無」というのはあるかもしれない、と思った。が、紹興酒のある大衆中華なんかいくらでもあるか…。あと、なんとなく、店名の最後が「園」とか「苑」だと高級感ありませんか?まあ、そこらへんは今後ゆっくり考えよう。

とにかく、これまでの3店に比べたら本格派な感じじゃないか。メニューをみて




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「ムシドリ!?」聞いたこともない珍しい食材だ。ムクドリみたいな?燕の巣とか関係してる?と、思ったけどよく考えたら「蒸した鶏」のことだった。

とにかく暑さにやられたのか、「本格」の魔法にかかっていたので、運ばれてきたタンメン




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730円



もやたら美しく見えた。チンゲン菜が入っているのもこれまでにない本格感だし、にんじんの鮮やかな赤も色彩を豊かにしてくれている。細めでゆるくちぢれた麺がスープによくなじみ、かすかにとろみを感じるこのスープがまた、なんか深い味!と思わずにはいられないのだった。ごま油の香ばしさと、あと、なんか味の奥に、なにかの「貝」的な、海の仲間にしか出せないコクがあるような…気がする。

これもまた「うめー!」の一点張りで食べ終えた。飲めば飲むほどうまいスープ。

表の食品サンプルは




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こんな感じでいかにも町の中華って感じだけど、上品で美味しい一杯でした。

いやーこんな感じで毎日、タンメンを支えに生き抜いています。食べログをさらっとチェックしただけでも、この町に無数の大衆中華が存在することは間違いなさそうなので、暇をみつけて食べ歩いてみたいと思う!

今回、登場してくれた森川さんの所属するバンド、「nakayoshi group」は、2013年7月24日に待望のミニ・アルバム「The Jesus vs Cheatman」をリリースする!
詳細とすごいPV(この風景、今の職場付近で感じる空気とリンクするんだよなー)はこちらでチェック。



そんなタイミングにあやかり、次回の「早く老人になりたい」は「nakayoshi group」のみんなに登場してもらう予定です!内容は未定!




チミドロライブ情報

2013年7月15日(祝・月)
ゲットー酒場
南池袋ミュージックオルグ

開場時間 / 17:30
開演時間 / 18:00
当日料金 / 1,500円(1ドリンク別)

出演 /
 WOODMAN
 むせいらん
 スカイブルー100
 nakayoshi group
 チミドロ

VJ / 訓示

FOOD / 吉田史織(パスカール)



2013年7月27日(土)
GHETTO VALLEY 3!!!!
四谷アウトブレイク

開場時間 / 24:00
当日料金 / 2,000円(1ドリンク)

出演 /
 D.J.Kuroki Kouichi
 hanali
 Licaxxx
 D.J.APRIL
 D.J.G.O.
 BAROM☆ONE
 OCCHIII



2013年7月30日(火)
〜MOSAiC 9th Anniversary〜「Hey,Little Music!!!」
下北沢MOSAiC

開場時間 / 19:00
前売料金 / 2,300
当日料金 / 2,500(1ドリンク500円別)
     ※MOSAiC店頭予約
      TEL / 03-5787-4559
      受付時間 / 16:00〜21:00
     ※各出演者扱い予約

出演 /
 大槻マキ(D.小柳“Cherry”昌法/B.川添智久/G.大槻隆)
 fantaholic
 チミドロ
 MISSILE CHEWBACCA

DJ / BUBBLE-B



posted by チミドロ鈴木 at 10:04| Comment(0) | 第26回〜第50回
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