ageHaの目の前にいい公園
「新木場埠頭公園」をご存知だろうか。
新木場駅からほど近く、クラブageHaスタジオコーストの通りを挟んだ向かい側にある小さな公園で、東京港に面していることが以外、これといった特徴もないのだが、ただ一つ、バーベキューができるのだ。
いや、バーベキューができる公園はいくらでもあるのだが、ここは予約も不要で、空いたスペースで適当にやっていい。 つまり今日思いついて今日バーベキューができる、そんなラフなノリを受け入れてくれる公園なのである。
で、この公園、チミドロのベーシストであるイチノミヤ君が昔から気に入ってよく訪れており、特に何の目的があるわけじゃないけど外で飲みたい時などに利用している。そこには大抵イチノミヤ君が小型のコンロ(バーナー?)を持ってきており、網を載せて肉だの野菜だのを焼いて酒のつまみにするのだが、ある時、さばの水煮缶をコンロの上に直接置き、グツグツしたところで食べてみたらびっくりするほどうまかった。
まあ、もともと「さば水煮缶」自体うまい。だからそれを温めて食べてうまいのは当然なのだが、この時食べたさば缶にはそういった理屈をはみ出した特別な味わいがあった。
外で缶詰を火にかけて食べる。これを「缶ベキュー」と呼ぶ。前置きが長くなったが、今回はその「缶ベキュー」の魅力的な世界にせまってみたいと思う。
会場はこんな場所
新木場駅から

8月の終わりの新木場駅
徒歩5〜6分、「千石橋」を渡ると右手に公園が見えてくる。中に入るとバーベキューを楽しむ若者がひしめきあっている。夏休みシーズンだけあってこの日の混雑ぶりはすごかった。

まさにヤングガッツバザール状態
この和気あいあいとした中を寡黙に突き進み、公園の隅の一角へ。この公園に幾度となく足を運んでいるが、一度も先客がいたためしがない場所だ。
さっき渡った橋の上から見るとこの辺り。

水に転がり落ちそうな位置
誰もいないのが分かるだろう。もし誰かいたとしたらそれが私たちだ。
園内でも最も静かなエリアであるここに来るのは、バーベキューの合間に発生した恋かなんかで誰かに慰められながら泣いてる女性とか、タバコを吸いにくる男たちぐらいのもの。
さあ始めます
設営完了。

すでに汗だくの参加者。サカイ君とMCミヤマ君
まず、それぞれが持ち寄った缶詰を見せ合う。

ウキウキした心とは裏腹に質素なルックス
「こんなのあるの!?見たことねー!」なんつって早くも盛り上がる。
遅れていたイチノミヤ君がようやくやってきて、すぐ点火!

待ってた火
ルール、というほどのものでもないが、今回の缶ベキューはこんな感じでやりました。
・それぞれが缶ベキューに合いそうな思い思いの缶詰を持ち寄る
・一つずつ火にかけみんなで食べて感想を言い合う
・缶詰の味を台無しにしない程度に様々な調味料を加えて楽しむ
缶ベキューをされる方の参考になるように、それぞれ10点満点で評価をしております。
まずは「マッシュルーム(SSK)」から行く!

前菜って感じで

見よ!これがバーベキューの最小単位だ
ちなみに一応普通のバーベキューがこれだ

すごく楽しそうではあるけど、普通すぎるよね
さて、この缶詰、味は付いていないので、オリーブオイルと塩を加え、そこに一味唐辛子をふった。以上のアレンジはチミドロのMCミヤマ君の発案によるものだったが、感想は全員一致で「普通」。10点満点中5点という結果になった。そしてミヤマ君は用事があると言ってこの後すぐに帰っていった。
お次は「美味しい鯖 水煮(伊藤食品)」

銀のラベルから気品が漂う
事前に用意しておいたオニオンスライスを加え、軽く塩コショウをふる。

ワイルドな風情
これは本気でうまい。うまいことは以前に検証済みであったが、しかしうまい。「これをうまさの基準にしよう!」ということで8点をつけた。ここで、当ピコカルで「大衆酒場ベスト1000」を連載されているパリッコさんが登場。一気に豪華なムードになって缶ベキューは進む。
「いわし味付(マルハ)」

まず間違いない
王道のうまさ。タレの味が完成しているので、うまさが想像の域を出ないということで7点に。
「いかキムチ(ちょうした)」

初めてみた缶
全員が「駄菓子みたい」と口を揃えるチープな味わい。化学調味料っぽさの強い甘みと辛みがクドく感じてしまって4.5点。
「ツナコーン(いなば)」

個人的にはかなり好きでした
これは全員ハイタッチ(実際はしてない)のうまさ。ここでもオニオンスライスが大活躍。缶ベキューにはオニオンスライスは必須と感じる。半分食べたところでマヨネーズも足してみたが、これは予想に反して、「別にいらねー」という感じでした。7.5点。
「さんま塩焼き(ニッスイ)」

こちらもうまそう
食べながら手帳にメモを取っていたのだが、すでに酔っていたのだろう、そこには乱れた文字で「オニスラと塩コショウにしょう油ひと足しで料亭の味」と書いてある。大げさだ。しかしこちらも問答無用のうまさでさば水煮缶と並ぶ8点の評価に。

こうして缶詰を熱してる間

真上を飛行機が飛んでった
「さんま水煮(あけぼの)」

これ系は間違いない
ここにきて分かってきたことだが、缶ベキューには味付けの濃いものより「水煮」「塩焼き」などの基本的な味の方が合うようだ。応用も利くし。そんなわけでこの「さんま水煮」も全員心のハイタッチ。プリプリかつほろほろの身のさっぱりとしたうまみを、上質な脂の甘みが引き立てる。こちらも例によってオニスラ&塩コショウの味付けを加えたのだが、さらにマヨネーズをつけて食べみたところ「これはもはや本場のイタリアン!」という高評価。よって8.5点。ついに王者「さば水煮」を上回るやつが現れた!
「スモークオイスター(ノルレェイク)」

欧米の風
紙箱から漂う舶来感。滅多に食えるもんじゃないという感じだ。こちらはパリッコさんの持ち込みだが、燻製ならではのほんのりした苦味と香りが最高。これまで食べてきた缶詰にはない海の外の味わいである。8点と高評価。
「有明煮 赤貝味付 小粒(マルハ)」

タウリンの塊
タレの味が濃い目ゆえ、応用は利かないが、しつこくなく、いくらでも食べられる。酒のアテとして最高!との意見。「肝臓のためにも食べるべき」とメモ帳にあった。7点。

煮えるまでの間、イチノミヤ君がギター弾いて歌う

パリッコさんの良い飲み方が今後の参考になる
だいぶ良い気分になってきました
「蒸しどり水煮(いなば)」

見慣れない缶詰
間違いない水煮シリーズ(つうか水煮ってネーミング何?)に鶏肉も参戦。実は我々、ここまでキノコと魚介類しか食べていないので、鶏肉の「肉だなー」という感じにうなる。「すっげーうまい中華料理屋のスープの味だ!」という声。「これでラーメン作ったら絶対流行る!」という話に発展したが、缶詰ベースで作るラーメン屋ってなんか嫌だろう。7.5点。
「さけ(あけぼの)」

こちらは大定番
これ、今回自分が用意した缶詰の中でも最高級レベルだった。といっても230円ぐらいだけど。なので、期待していたのだが、なんと結果は6点。「そのまま食べた方が断然うまい!」という。なぜか、鮭の風味が飛んでしまうのである。缶ベキューに不向きな缶もある。それがまた面白いじゃないか。
「Small Sardines(オーバーシーズ)」

欧米の風2
こちらもパッケージからして高級感あります。味はさっぱりしていて、オニスラ&マヨネーズとの相性は抜群。「これもう!グラタンっすよ!」とはしゃぐ!グラタンだと良いのかどうか、今となっては良く分からないが。7点。
「ツナとタイカレー レッド(いなば)」

今度はアジアの風
これは絶対うまいことが分かっていたので、ここまで避け続けてきたのだが、「そろそろやってみますか」といってやったら言うまでもなくうまいのだった。「これは卑怯!」「缶ベキューとは言えない」などの野次も飛ぶが9点。今回、用意できなかった「イエロー」がおそらく10点だろうという意見。
ここら辺で全員満腹となってきた。実はこの他にホールトマトの缶詰を用意しており、ここまでに食べた缶詰の中から少しずつ中身とスープを拝借し、その中に入れて「究極のトマトスープ」を作ろうという話になっていた。赤い汁の中から鮭だの貝だの鶏肉だの色々出てくる謎のスープだが、これがなかなかうまい!コンソメとかで味を整えたらもっと美味しくなりそうでした。
あと、「パインと黄桃」も缶ベキューしてみましたが、

デザート
これは「そのまま食った方がうまい」という結論に。
さらに付け加えると、パリッコさんが持ってきてくれた冷凍の枝豆(それをそのまま自然解凍して食べる)が、缶詰の合間合間に食べるととても美味しく「実は一番うまいのはこれかも」との評価を得ていた。10点。
さて、こんな感じでやってきた缶ベキュー。予想以上に楽しかった。今回食べ切れなかった缶詰もあるし、缶詰なんかもういくらでも種類があるし、まだまだ楽しめそうである。
準備が楽。片づけが楽。あーだこーだいいながら食べ合うことで生まれる一体感。オリジナルのアレンジが楽しい。マジでうまい。など、長所は100個ほどあるのが分かった。それに対して短所はただ一つ、「華がない」という点に尽きる。

なんか貧相なのは否めない
が、それ以外のあらゆる点で普通のバーベキューを凌駕する「缶ベキュー」、どうぞみなさんもお楽しみください。
と、こんなことを書いたってみんなやらないのはわかっている。せめて、肉や野菜をジュージュー焼いてる網の端でいいんで、さば水煮缶でも置いておいてもらえないだろうか。 「誰だよ!こんなとこに缶詰置いてるヤツー。え、う、うまい!!!」って感じでみんなそのうまさに驚くはずである! そしてよかったらそのバーベキューに俺を呼んでください!
チミドロライブ情報
9月9日、南池袋ミュージックオルグでライブさせていただきます!夜の似合う最高のメンツに混ぜていただき光栄です。きっといい夜になりますのでぜひ遊びにきてください!
2012年9月9日(日)
のいづば
南池袋ミュージック・オルグ
OPEN / START: 16:00 CLOSE: 23:00
CHARGE: 1500円(ドリンク別)
ACT: youpy + kyoka (raster-noton) / Yuuyu Aensland (a.k.a. Cherry Brown) / チミドロ / Miii (Maltine/Otherman) / Organisation le jeune bourgeon
VJ: PAY CHANNELS(GraphersRock + ホンマカズキ)
俺も是非缶ベキュー挑戦してみます!
チミドロも今度拝見しに行きますね〜。