楽しかった海から帰ってこれなくなった
先日、テクノレーベル・LBT主催の「スペシャルサマー」というDJイベントにお招きいただき、逗子の海の家で夢のようなひと時を過ごした。海辺でお酒を飲んで仲間たちとはしゃいでいると、この上なく楽しい。そして、その週末が明けると、まったく体に力が入らず、何をしてもぼーっとしてしまう。
強い反動で無気力状態となった自分を鼓舞するために「POPタイトル集」という本を手に取る。「マール社」という出版社から1977年に出版された一冊。

POPタイトル集/荒木淳 編著
ここでいうPOPというのは「POP広告」のこと。ヴィレッジヴァンガードの手書きPOPが面白い、みたいに言われるあれです。この本はその「POP」を作る上で参考になる「タイトル」と「書体」をこれでもかと詰め込んだ一冊で、商店を経営されている方なんかが販売促進のヒントにするためのもの。

そのまま使うこともでき、使用範囲も広い
ちなみに私は一度もPOPを書いたこともないし、書く必要にも迫られていないので、この本が想定しているユーザーでは全然ないのだが、とにかく眺めているだけでやたらとPOPな気分になれるのがこの本なのだ。よく分からないと思うのでさっさと紹介させていただきたい。
ページをめくると

こういうやたらと威勢のいいタイトルだけが

延々載ってるだけ
迫力のあるレタリングと煽り文句。ページをめくってもめくってもそれだけが続く。これらを眺めていると不思議なことになんだか何かもバカバカしく思え、結果的に元気満々となる。
例えばこの「生鮮市」

ビューン!
すごい遠くからすごい速さでこっちに向かってきてる。でも伝えたいことはあくまで「生鮮市」。それだけだ。
そしてこの

YGB
ヤングガッツバザールって一体何なの?と聞いたところで答えられる者など誰もいないだろう。とにかくそうなんだ。
これなんかも

便利最高
なんか、世紀の発見でもしたかのような気づきを書体から感じる。中身は空っぽなのに迫力がある。
この仰々しさがたまらない。まずはこれら「大げさ系」とくくれそうなものから気に入ったタイトルを一挙紹介したい。
とりあえず気合の入った書体で叫べ!

マツタケかと思った
マッタク安だ。マッタクもって安い。でも「マッタク安くない」とも解釈できるんじゃないですかぁ?とかいう奴は引っぱたけばいい。

新しい漢字にどうでしょう
メタメタ安だ。これ以上の安さはそうそうないんじゃないだろうか。

燃えよ!ストーブ
こんな角度の「ー」見たことない。ストーブが燃えたら危ないんじゃないですかぁ?とかいう奴は寒さで凍えればいい。

言い切る
不死身のスーツ。買うのが恥ずかしいほどの勢いだ。言ったもん勝ち!

勢い
まったく何を言っているんだか分からないからいい。このPOPに誘われて、購買意欲が増すだろうか。そんなことはどうでもいい、勢いだけで何が悪い。

秘剣!破れ大奉仕
こんな奉仕があるだろうか。もうこっちはこの通りボロボロです。これでも買わないんですか!?としつこく迫る

大笑い!
福袋に爆笑なんて必要だろうか。ゲラゲラと笑いが止まらぬほどの中身。これはちょっと買ってしまうかもしれない。

大千円街
千円均一コーナーか何かなんだろうけど、それを「街」と名づける図々しさ、潔い。

おなじみ大千円街
別デザインも用意されてた。
叙情系もあります
さあ、次はほんのりと余韻を残す叙情派POPをご覧ください。

いつか、また会おう
もうこんな、お互い消耗するだけのバーゲンなんてもうやめましょう。これで最後よ…

させないでったら
「わたし」というのは誰なのか。経営者のことなのか。そして何を伝えようとしているのか。ここには何も手がかりはない。

ほんのり恥らう
初めてだという。正直に打ち明けてくれたことが素直に嬉しい。

きっと、また会おう
街から街へとさすらいの感謝市。

はしゃぎ過ぎた
遊びすぎたんだろう。海の家イベント以来、脱力状態が続く自分だから、よくわかる。

夏は終わる
もう、何も言わないで。そっとさよなら…
なんか腹立つ系
なんか鼻につくタイトルも数多く収録されている。

言うまでもないですよネ
腹立つ!

クッテナインダロ?
うるせえ!お前誰だ!

ウ〜ン
癇にさわる声が聞こえてくるような気がする

怪しいやつだ
うさんくさい顔や身なりがありありと浮かんでくる

いきなりまくし立ててくる奴
相づちを打つ間を与えない感じだ。ついていったらロクなことはなさそうだ。
よく分からない系
なんか必死で言ってくれてはいるんだけど。という。

縄張り荒らし
物騒だ。長く続く抗争の発端となりそうな。

どんなものですか?と言っています
いやこれは、腹立つ系だった。

ん?
使い道が分からない。

友からのアドバイス
静かに読め。ありがたいメッセージ。騒がしくしていてごめん!

なんかつつましい書体

熱気ムンムン

かっこいいようでそうでもない
いやー今こうやってみてみると元気が出るということはなく、むしろどんどんエネルギーを吸われる本だなこれ。
昔のマール社はこういった魅力あふれる本をたくさん出版していて大好き(今はマンガの背景集やポーズ集なんかを出版しています)。まだ紹介したいマール社本があるので、また次の機会に取り上げたいと思う!
チミドロライブ情報
ルリ・マグネットさん、後藤海さんの展示会場でライブさせていただきます。生音メインの編成でやる予定です!目下練習中。
2012年8月19日(日)
「ルリ・マグネット×後藤 海 ふたり展 “Aquarium.”クロージングパーティー」
@下北沢Simokita Art Space(space A・B)
16:00-19:00
DJ:Andrei, kai
act:TAQACY(f.それ以染に)
チミドロ
独りスミスとペロ
murai takafumi(f.FILMREEL)
∴NEU譲(f.やまのいゆずる)
吉田 真之(f.where is my mind?)