早く老人になりたい

2012年04月28日

第6回「深夜徘徊でぶっ飛ばせ」

はじまりはいつも酒

酒を飲んだ帰り、終電になんとか間に合ったといって安心していると知らない駅で目が覚める。

私がよく意識を取り戻すのが「和光市」という駅だ。地下鉄・有楽町線の終点で、有楽町線の中で唯一、埼玉県に存在する駅。終電で和光市についた場合、帰りの電車はもう朝までない。とりあえず改札を出てみるも、馴染みのない土地なのでどっちへ行けばファミレスがあったりするのか分からない。マンガ喫茶は駅の近くに見つけたが、朝まで3,000円近いお金を払って滞在するのはなんだかバカらしく、かといってタクシーに乗るのも…。というか、そんなお金があるのならもう何回か飲みに行けるし。もういいわ。と、やけになって歩き出す。

道路の上にある、「こっち東京」みたいなざっくりした標識を頼りに、自分の住む池袋方面を目指す。和光市から池袋方面へ行くには、乗ってきた有楽町線を引き返すように(ってそりゃそうっすね。ははは)進みながら、国道254号線沿いを歩いていくのが分かりやすい。途中、自衛隊の駐屯地があるぐらいであとは特に何もない道を延々歩く。一刻も早く家に帰って眠りたいので、腹が減ったらコンビニでカップ麺買ってお湯入れて歩きながら食べる。寂しくなったり虚しくなってきたら歌う。歌ってるうちに感極まって泣いたりすることもある。

そしてだいたい3時間半ぐらいかけ、足が棒のようになったところで家にたどり着いて眠り、翌朝から仕事に行って、数週間するとある日また和光市で目が覚める。そしてまた歩き出す…。書いていて自分の愚かさを痛感するが、夜中の町歩きには何か独特のクセになるムードがある、ということだけをここでは言っておきたい。夜中だから店もやってないし、景色もほとんど楽しめない。疲れるし、肌寒いし。いつまでも覚めない悪夢のようなのだが、妙にテンションが上がって、ふと全能感が得られる瞬間が訪れたりする。

あの不思議な高揚感を他の誰かと分かち合えないだろうか。という思いがきっかけになって今回、終電から始発までただ歩き続ける会を開催してみることにした。




まるで徘徊老人のように

池袋駅東口、24時に待ち合わせることにした。終電近く、和光市行きの電車とは反対側に乗り込む。




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私をいつも和光市に連れて行く鉄の乗り物。今日は乗らない





今回、「終電から始発まで歩き飲みしながら話しませんか?」、というわけの分からない誘いにのってくれたのがこの男たちだ。




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きた。





花井さん。会社の元同僚で現在はチミドロのMC。リュックの中には何やら色々と装備が入っていそうだった。準備のいい男なのである。




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きたきた。





ヒラノさん。「なかよしグループ」というバンドのメンバーで、チミドロはよく対バンさせていただいたり、みんなで飲みにいったりとホントなかよしです。花井さんと対照的に手ぶらだ。シティボーイ的だ。

今回は、和光市から自宅までの距離を参考に、池袋を起点に約10キロの距離で、と考え、浅草をゴールに設定することにした。和光市−池袋よりも歩いていて楽しそうだし、みんな疲れて「今すぐこんなことやめたい!」というムードになっても始発を待つ場所に困ることがなさそうだ。

「じゃあ行きますか」とすぐに歩き出す。東池袋方面へ向かい、最初にみつけたコンビニで酒を買って、




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乾杯





雑司が谷霊園の脇を通って護国寺へ。いつも夜歩くのが怖いこのあたりも、今日は三人だから心強い。この近くの学校に通っていたというヒラノさんの高校時代の話などを聞いているうちにあっという間に護国寺着。

ついでだし、お参りしていきます




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なんとなく二度と会えなそうな後ろ姿だ





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大仏、、みえます?





ちなみに、ヒラノさんは、「日本が今より悪い状態になりませんように」とお祈りしたと言っていた。




休む間もなく歩き出す

護国寺前には「不忍通り」という道が走っている。「しのばず」っていうんだから上野の「不忍池」まで続いているのだろう、浅草ってそっちっすよね?と、この道を歩いていくことにした。

歩いていると、色々な看板が目に入ってくる。少し変わったのがあるとみんなで寄ってたかって撮影する。例えばこれとか、




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なんかいい男





そしてこれとか




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なんかいいお弁当





あと、配電盤の上にぽつんと片方だけ置かれていたスニーカーとか




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ちゃんとしたメーカー品です





こういうのをバッシャバシャ撮影して「うお!いい!」とか言い合ってたんだが、今こうして冷静に思い返してみると、「そんなみんなで写真撮るほどか?」と思う。みなさんも思ったのではないだろうか。どうやらこの時点で我々は深夜徘徊のマジックにかかっていたようだ。

駒込あたりに差し掛かって見つけたこれなんか




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居酒屋フォーラム





「フォーラムだって!居酒屋なのに!すげー!なんだこの名前!気になるー」と大はしゃぎだった。大はしゃぎしたって店は閉まってるんだ。夜中だから。

そうそう、とにかくあらゆる店が閉まっているのである。

千駄木の辺りのこの春木屋



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あの西荻とかの春木屋とは関係ないと思う





なんか、すごい良い佇まいで美味しそうだなー!と思うが、とっくに閉まっている。夜中だから。良い店を見つけてももう営業してなくて、どんな風なのか想像するしかないという点も深夜徘徊の特徴である。

唯一営業してたラーメン屋で「晴山」という店があって、写真は取り忘れたのだが、店内にやたらいい顔のジジイがひしめいていた。店主は何をするでもなく突っ立っていて、誰もラーメンを食べている様子がない。ラーメンデータベースのレビューを見るに、「ラーメンを食べに行くと浮く店」だということが分かる。ここは行っておくべきだった!




徘徊は続く

さて、谷中を越え、根津を過ぎてようやく「不忍池」までやってきた。池に映る明かりがきれいで記念撮影。




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肝心なところでブレちゃってますが




すぐ隣の動物園の敷地から「キエェーッ!!」と奇声が聞こえてくる。夜行性の生き物だろうか。

それにしても意外なことにみんな全然酒を飲まない。三人とも、スタートから数えてやっと2缶飲んだぐらい。もっとほろ酔いになってテンションが上がったりするかと思っていたのだが、予想以上に進まない。「なんでなんすかねー」と言ってみると花井さんが、「マラソンで走ってて給水所に発泡酒があってもそんなに飲めないでしょー」と言うのでその時は納得したが、今考えるとよくわからない例えだ。




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上野駅前で





上野まできたら浅草はもうすぐそこだ。寄り道もせず、ストイックに歩き続けたので、時間もだいぶ余裕がある。ここら辺で少し、恋について話したような気がするがすべて忘れた。歩いていると、前方の視界に気をとられたり、話し声が空間に拡散していくせいで、あまりまとまった話ができないのかもしれない。




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すんなり浅草きた





はい。みんなが寝たり、お酒飲んだり、色々してる間に我々はゴールしました。




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夜にたたずむ





人のいない町

それにしても誰もいない。人っ子ひとりいない。今回の徘徊は金曜の夜に行ったのだが、若者とかもう少し町をウロウロしているものかと思っていた。昼間は賑わう繁華街を選んで歩いたつもりだったが、こんなもんだろうか。




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誰もいない仲見世通り





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酒場のひしめく“煮込み通り”もこんな状態





飲み屋を探してしばらくウロウロしたが、目ぼしい店は見つからない。何やら派手に輝くネオンが向こうに見えたので近づいてみる。




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麺って書いてある!





「錦」という中華料理屋で、ここの渋谷店には一度行ったことがある。酒のつまみも充実した大衆中華だ。迷わず入店。そんでラーメン。




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タンメン





「いやー無事浅草についてよかった!」と労をねぎらって乾杯。少しすると




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あれ。二人の後ろに椅子が





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あれ





閉店の準備が豪快に始まった!「北の国から」の有名なワンシーンを想起するような。まあそれもそのはず、さっきの画像をよくみたら




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テレビでは





「親子クラブ」やってるもんな。早朝の番組。

早く店を出なきゃと思うのだが、タンメンが全然食べきれない。「だめだ、なぜか食べられない」と言うと花井さんが、「フルマラソンした後にゴールでいきなりタンメン出てきてもそんなに食べられないでしょー!」と言っていたが、これもなんだか良く分からぬままだ。




夜が終わって

外に出るともう朝。魔法が解けたように急激な疲れが襲ってきた。ヒラノ君が撮ってくれた写真。左下に頭だけ見えるのが花井さんと俺です。いい写真。




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スカイツリー巨大





せっかくだし川を見ようということになり、そこで記念撮影して帰る。




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ただの朝





そして午前6時には布団の中にいた。




―完―




と、長々すみませんでした。何かハプニングが起きるわけでもなくとにかく歩き続けた一晩だったのだが、これが終わってみると、もう次をやりたくなってきている。何か得たものがあったとかでは決してないんだけど、今回参加してくれた二人とも「月1ぐらいではやりたいですね!」と話している。

そこで、この場を借りて深夜徘徊メンバーを募集します!一緒に散歩してくださる方がいたらツイッターなどで声かけてください!かなりの徒労ですけどよかったら!

今回のコースを花井さんがグーグルマップに記入してくれました。なんか遠回りしてんなー!この地図をどんどん広げていきたいものだ。


より大きな地図で 2012.4.20 深夜徘徊 を表示



というわけで




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つづく





告知です

参加してくれたヒラノ君が所属するバンド「なかよしグループ」のライブがあります。

2012年04月30日 (月)
SOUNDROOM
Vol.66 - 卯月(うづき)
六本木SuperDeluxe

開場:17:00 / 開演 17:00
料金:予約1,000円 / 当日1,500円

ゲストライブ :Nakayoshi Group
公開ラジオ放送:Radio Drome in Sound Room
DJ 7人    :川口貴大, 竹田大純, 中村ゆい, biki, なでなでろう, 沖啓介, 安永哲郎
エンジニア  :大城真
DJ      :いぬ, 37A, KUKNACKE



posted by チミドロ鈴木 at 10:27| Comment(0) | 第1回〜第25回
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